赤字の会社でも売れる?買手が評価するポイントと売却の方法、価格の考え方を解説

赤字の会社でも売れる?買手が評価するポイントと売却の方法、価格の考え方を解説

「うちの会社は赤字だから、買ってくれる会社なんてないだろう」

そう考えて、会社の売却をあきらめている経営者様は少なくありません。

しかし、赤字の会社でも、M&Aによって売却できるケースは数多くあります。買手は、今の利益だけでなく、技術や人材、取引先、許認可など、会社が持っているさまざまな価値を見て判断するからです。

一方で、赤字の会社の売却には、黒字の会社とは違う難しさもあります。売却の可能性を高めるには、買手がどこを見ているのかを知り、適切な方法で準備を進めることが大切です。

ここでは、赤字の会社でも売れる理由と、買手が評価するポイント、売却の方法、価格の考え方、売却を成功させるためのポイントについて解説します。

赤字の会社でも売れる理由

会社の強みを整理する経営者
 

赤字の会社を、なぜ買いたいと考える会社があるのですか?

 
 

買手は、自社の資金や販路、ノウハウと組み合わせることで、赤字の会社を立て直せると考えることがあるからです。一から事業を立ち上げるよりも、時間や費用を抑えられるという利点もあります。

 
 

今の数字だけで、価値が決まるわけではないんですね!

 

買手が赤字の会社を買う主な理由には、次のようなものがあります。

  1. 事業を一から始めるより早い:人材や設備、取引先をそろえる時間を短縮できる
  2. 自社の強みと組み合わせられる:買手の販路や資金力を生かして、売上を伸ばせる見込みがある
  3. 手に入りにくいものを持っている:許認可や技術、立地など、簡単には手に入らないものがある
  4. コストを減らせる:仕入れや管理の業務をまとめることで、赤字の原因を解消できる

つまり、売手の会社にとっては赤字の原因であっても、買手のもとでは解消できる、というケースがあるのです。

買手が評価するポイント

新しい体制で再出発する社員たち
 

赤字の会社の場合、買手はどこを見て評価するのですか?

 
 

技術やノウハウ、人材、取引先、許認可、立地などの「目に見えにくい価値」と、赤字の原因が何かを重視します。赤字の原因がはっきりしていて、改善できる見込みがあれば、評価されやすくなります。

 
 

赤字の理由を説明できることが、大切なんですね!

 
評価のポイント内容
技術・ノウハウ独自の製造技術、専門的なサービスのノウハウなど
人材熟練の職人、資格を持つ社員、経験豊富な営業担当など
取引先・顧客長く取引が続いている優良な取引先、地域の固定客など
許認可取得に時間や条件がかかる許認可
立地・設備商売に有利な立地、すぐに使える設備や店舗
赤字の原因一時的なものか、改善できる見込みがあるか

赤字の原因が説明できるか

買手が最も気にするのは、「なぜ赤字なのか」と「その赤字は解消できるのか」です。

たとえば、設備投資による一時的な費用、経営者の高齢化による営業活動の減少、仕入れ価格の上昇など、赤字の原因がはっきりしていれば、買手は改善の見込みを判断しやすくなります。

反対に、原因が分からないまま赤字が続いている場合は、買手が慎重になりやすくなります。

赤字の会社の売却方法

 

赤字の会社は、どのような方法で売ることができますか?

 
 

会社をまるごと売る「株式譲渡」のほかに、価値のある事業だけを売る「事業譲渡」や「会社分割」という方法もあります。会社の状況に合わせて選びましょう。

 
 

会社の一部だけを売るという選択肢もあるんですね!

 

株式譲渡

会社の株式を買手に売り、会社をまるごと引き継いでもらう方法です。借入金や個人保証なども含めて引き継いでもらえれば、経営者の負担を大きく減らすことができます。

事業譲渡

会社の事業のうち、価値のある事業だけを選んで売る方法です。赤字の事業や負債を会社に残し、黒字の事業や価値のある資産だけを引き継いでもらうことができます。

ただし、会社に残った負債は売手側で整理する必要があるため、譲渡代金で借入金を返済するなどの計画が必要です。

会社分割

会社の事業の一部を切り出して、別の会社に引き継がせる方法です。事業譲渡と同じように、価値のある事業だけを引き継いでもらう場合に使われます。

赤字の会社の売却価格の考え方

 

赤字の会社は、いくらくらいで売れるのですか?

 
 

利益をもとにした計算が難しいため、会社の純資産や、買手にとっての事業の価値をもとに価格が決まることが多くなります。借入金が多い場合は、価格が低くなることもあります。

 
 

価格の決まり方が、黒字の会社とは違うんですね!

 

黒字の会社の売却価格は、純資産に、営業利益の数年分を加えて計算されることがよくあります。一方、赤字の会社では利益を上乗せできないため、主に次の考え方で価格が決まります。

  • 純資産をもとにする:会社の資産から負債を差し引いた純資産を、価格の目安にする
  • 買手にとっての価値をもとにする:技術や取引先、許認可などを手に入れることの価値を評価する
  • 借入金の引き継ぎを考える:借入金を買手に引き継いでもらう分、価格が低くなることがある

債務超過の場合

負債が資産を上回る「債務超過」の会社でも、事業に価値があれば売却できる場合があります。この場合、売却価格はわずかになることもありますが、借入金や個人保証を買手に引き継いでもらえることで、経営者が個人で返済する負担から解放されることがあります。

売却価格の大きさだけでなく、「売却によって経営者の負担がどれだけ減るか」という視点で考えることが大切です。

赤字の会社の売却を成功させるポイント

 

赤字の会社を売るために、何をしておけばいいですか?

 
 

会社の強みを整理すること、赤字の原因と改善の道すじを説明できるようにすること、そして業績がさらに悪くなる前に早めに動くことが大切です。

 
 

あきらめる前に、できる準備がたくさんありそうです!

 

会社の強みを整理する

技術、人材、取引先、許認可、立地など、会社が持っている強みを書き出してみましょう。経営者にとっては当たり前のことでも、買手から見ると大きな価値になることがあります。

赤字の原因と改善の道すじを説明できるようにする

「なぜ赤字なのか」「どうすれば黒字にできるのか」を、数字を使って説明できるようにしておくと、買手の判断がしやすくなります。経営者の高齢化で営業が手薄になっているなど、買手のもとで解消できる原因であれば、評価が高まることもあります。

早めに動く

赤字が続くほど、会社の純資産は減り、売却の選択肢も狭まっていきます。資金繰りが苦しくなってからでは、交渉に時間をかけることも難しくなります。

「まだ立て直せるかもしれない」と思えるうちに、専門家に相談して、売却の可能性を確かめておくことが大切です。

赤字の会社の売却に慣れた仲介会社を選ぶ

赤字の会社の売却は、買手探しや条件の調整が難しくなりやすいため、同じような案件の経験がある仲介会社を選ぶことが大切です。複数の仲介会社に相談して、売却の見込みや進め方を比べましょう。

売却の前に取り組みたい改善策

 

売却の前に、少しでも会社の評価を上げる方法はありますか?

 
 

無駄な経費の見直し、採算の悪い取引や事業の整理、会社と経営者個人のお金の区別などは、比較的取り組みやすく、買手からの評価にもつながります。

 
 

できるところから、少しずつ取り組んでみたいです!

 

経費を見直す

使われていない契約やサービス、割高になっている仕入れや外注などを見直すだけでも、赤字の幅を小さくできることがあります。赤字が小さくなれば、買手にとっての改善の見込みも分かりやすくなります。

採算の悪い取引や事業を整理する

利益が出ていない取引先や商品、事業がはっきりしている場合は、条件の見直しや縮小を検討しましょう。会社の中で「どこが利益を生み、どこが赤字の原因なのか」が分かるようになると、買手は会社の価値を判断しやすくなります。

会社と経営者個人のお金を分ける

会社の経費に、経営者個人の支出が混ざっていると、会社の本当の業績が分かりにくくなります。実際には、経営者個人の支出を除けば利益が出ている、というケースもあります。

経費を整理し、会社の本当の収支を示せるようにしておくことで、赤字の見え方が変わることもあります。

改善の結果を数字で示す

改善に取り組んだ結果、売上や利益がどのように変わったかを、月ごとの数字で示せるようにしておきましょう。赤字であっても、改善の傾向が見えていれば、買手の評価は高まりやすくなります。

赤字の会社の売却でよくある質問

 

赤字の会社の売却について、ほかにも気になることがあります。

 
 

「何年も赤字が続いていても売れるのか」「売れなかったら廃業するしかないのか」といったご質問をよくいただきます。

 
 

どちらも、まさに気になっていたことです!

 

何年も赤字が続いていても、売れますか?

赤字が続いている年数よりも、「会社にどのような価値があるか」と「買手のもとで改善できるか」が重視されます。長く赤字が続いていても、技術や許認可、取引先などに価値があれば、買手が見つかることはあります。

ただし、赤字が続くほど純資産は減っていくため、早めに相談することをおすすめします。

売れなかったら、廃業するしかないのでしょうか?

買手が見つからなかった場合は、廃業を検討することになりますが、その前に、事業の一部だけを売る、売却の条件を見直す、別の仲介会社に相談する、といった方法を試すこともできます。

いきなり廃業を決めるのではなく、さまざまな選択肢を比べてから判断しましょう。

赤字の会社でも、あきらめずに売却の可能性を確かめよう

赤字の会社でも、技術や人材、取引先、許認可などに価値があれば、M&Aで売却できる可能性があります。買手は、自社の強みと組み合わせることで、赤字を解消できると考えることがあるからです。

売却を成功させるには、会社の強みと赤字の原因を整理し、改善の道すじを説明できるようにしたうえで、業績がさらに悪くなる前に早めに動くことが大切です。

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