美容室・サロンの売却とは?売却の方法や買手が評価するポイント、高く売るためのコツを解説
「独立して開いたお店を、閉めるのではなく誰かに引き継いでほしい」
美容室やサロンの経営者様の中には、引退や体調、別の事業への挑戦などをきっかけに、お店の売却を考える方も少なくありません。
美容室を手放す方法には、閉店して物件を返すほかに、内装や設備を次の借り手に売る「居抜き売却」や、お店の営業をまるごと引き継いでもらう「事業譲渡」などがあります。
美容室の価値は、内装や設備だけでなく、スタイリストやお客様、地域での評判などにも支えられています。そのため、どの方法で売るかによって、受け取れる金額や、スタッフ・お客様への影響が大きく変わります。
ここでは、美容室を売却する方法の違いと、買手が評価するポイント、売却で注意したいこと、高く売るためのコツについて解説します。
美容室を手放す主な方法

美容室を手放すときには、どのような方法があるのですか?
主に「閉店」「居抜き売却」「事業譲渡」「株式譲渡」の4つがあります。お店の営業をそのまま引き継いでもらえる事業譲渡や株式譲渡では、スタッフやお客様の価値も評価してもらいやすくなります。
閉めるだけではなく、いろいろな選択肢があるんですね!
| 方法 | 引き継ぐもの | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 閉店 | なし | 内装を元に戻して物件を返すため、原状回復の費用がかかる |
| 居抜き売却 | 内装・シャンプー台・セット面などの設備 | 原状回復の費用を抑えられ、設備の代金を受け取れる |
| 事業譲渡 | 設備に加え、店名・スタッフ・お客様・予約の仕組みなど | お店の営業をそのまま引き継いでもらえる |
| 株式譲渡 | 会社そのもの(複数店舗を含むことも) | 会社で美容室を経営している場合に使える |
居抜き売却と事業譲渡の違い
居抜き売却は、内装や設備などの「モノ」を次の借り手に売る方法です。次の借り手は、店名やメニューを自由に変えることが多く、スタッフやお客様は引き継がれないのが一般的です。
一方、事業譲渡は、モノに加えて、店名やスタッフ、お客様、予約サイトのアカウントなど「お店の営業そのもの」を引き継いでもらう方法です。利益が出ているお店や、指名のお客様が多いお店であれば、設備だけでなくお店の価値まで評価してもらえる可能性があります。
美容室の売却の流れ

美容室の売却は、どのような流れで進めるのですか?
まず物件の契約内容を確認し、売却の方法を決めてから買手を探します。条件がまとまったら、大家さんの承諾を得て契約を結び、保健所への届出やスタッフ・お客様への説明を行います。
物件や届出の手続きも、大切な流れの一部なんですね!
- 物件の賃貸借契約を確認する:設備の売却や、借りる権利の譲渡ができるかを確認する
- 売却の方法を決める:居抜き売却か、事業譲渡か、株式譲渡かを決める
- お店の価値を整理する:売上や利益、スタッフ、お客様の数、リピート率などを整理する
- 買手を探す:居抜き物件の専門業者、仲介会社、マッチングサイトなどを利用する
- 条件を交渉する:価格、引き継ぐ範囲、引き継ぎの時期などを決める
- 大家さんの承諾を得る:物件を引き継ぐことについて、大家さんの承諾を得る
- 契約を結び、引き継ぐ:保健所への届出、スタッフやお客様への説明を行う
美容所の開設届と物件の注意点
美容室の売却で、特に気をつけることはありますか?
保健所への美容所の開設届と、物件の賃貸借契約には特に注意が必要です。経営者が変わる場合、新たに届出をして保健所の確認を受ける必要があることが多いため、営業できない期間が生じないよう準備しましょう。
経営者が変わると、届出も必要になるんですね!
美容所の開設届
美容室を開くには、保健所に美容所の開設届を出し、施設が基準を満たしているかの確認を受ける必要があります。
事業譲渡や居抜き売却で経営者が変わる場合は、新しい経営者が改めて開設届を出し、確認を受ける必要があるのが一般的です。手続きの詳しい内容や日数は保健所によって異なるため、引き継ぎの前に必ず確認しておきましょう。
なお、会社で美容室を経営していて、株式譲渡で会社ごと売る場合は、開設者である会社が変わらないため、原則として届出はそのまま使えます(役員の変更などの届出が必要な場合があります)。
物件の賃貸借契約
美容室の多くは、物件を借りて営業しています。お店を引き継ぐには、新しい経営者がその物件を借り続けられるよう、大家さんの承諾を得る必要があるのが一般的です。契約によっては、設備の売却や借りる権利の譲渡が禁止されていることもあるため、売却を考え始めたら、まず契約書を確認しましょう。
リース契約
シャンプー台やスタイリングチェアなどをリースで借りている場合は、リース会社の承諾を得て契約を引き継ぐか、精算する必要があります。
買手が評価するポイント
美容室を買う側は、どこを見ているのですか?
売上と利益、スタイリストの人数と定着、リピートしてくれるお客様の数、立地や内装、予約サイトでの評価などが主なポイントです。
スタッフとお客様が、お店の価値を支えているんですね!
| 評価のポイント | 内容 |
|---|---|
| 売上・利益 | 月ごとの売上、利益率、客単価 |
| スタッフ | スタイリストの人数、指名の数、定着率 |
| お客様 | 来店客の数、リピート率、新規のお客様の集め方 |
| 立地・内装 | 駅からの距離、席の数、内装や設備の状態 |
| 評判 | 予約サイトの口コミ、SNSのフォロワー |
| 物件 | 家賃、契約の残りの期間、大家さんとの関係 |
オーナーに頼りすぎていないか
オーナー自身がトップスタイリストで、指名のお客様の多くがオーナーについている場合、オーナーが抜けるとお客様も離れてしまうおそれがあります。売却後も一定期間お店に立つ、ほかのスタイリストにお客様を引き継いでおくなど、オーナーがいなくても続く体制をつくっておくことが大切です。
スタッフとお客様の引き継ぎ
スタッフやお客様には、いつ、どのように伝えればいいですか?
話が早い段階で広まると、スタッフが辞めてしまったり、お客様が離れてしまったりするおそれがあります。契約の内容がほぼ固まった段階で、買手と相談のうえ、丁寧に伝えることが大切です。
伝える順番とタイミングが大切なんですね!
スタッフへの説明
スタッフにとっては、給与や働き方、お店の方針がどう変わるのかが気になるところです。売却後の待遇について買手と事前に話し合い、スタッフが安心して働き続けられるよう説明しましょう。事業譲渡の場合は、スタッフの同意を得て、新しい経営者のもとで雇用契約を結び直すことになります。
お客様への案内
お客様には、担当のスタイリストやメニューが続くことを伝え、安心して通い続けてもらえるようにしましょう。お客様の情報を引き継ぐ場合は、個人情報の扱いにも注意が必要です。
美容室の主な買手
美容室を買うのは、どのような人や会社なのですか?
店舗を増やしたい美容室グループのほか、独立を考えているスタイリストや、美容関連の事業を営む会社など、さまざまな買手がいます。
お店で働くスタイリストが買手になることもあるんですね!
| 買手の種類 | 主な目的 |
|---|---|
| 美容室のグループ | 店舗を増やし、スタッフやお客様を広げたい |
| 独立を考えているスタイリスト | 一から開業するより、お客様のいるお店を引き継ぎたい |
| 美容関連の会社 | エステやネイルなどの事業と組み合わせたい |
| 異業種の会社 | 美容の分野に新しく進出したい |
スタッフに引き継ぐ方法もある
お店で長く働いているスタイリストに引き継いでもらう方法もあります。お客様やほかのスタッフとの関係がそのまま続きやすい一方で、買い取りの資金を用意できるかが課題になります。代金を分割で受け取るなどの工夫が必要になることもあるため、専門家に相談しながら進めましょう。
高く売るためのコツ
営業しているうちに売却を進める
閉店してからでは、スタッフやお客様の価値が失われ、設備だけの評価になってしまいます。営業を続けているうちに売却を進めることで、お店の価値をそのまま評価してもらいやすくなります。
数字を整理しておく
月ごとの売上や客数、リピート率、スタッフごとの売上などを整理し、お店の状態を数字で示せるようにしておきましょう。
設備と店内をきれいに保つ
内装や設備がきれいに保たれていることは、買手の印象を大きく左右します。故障している設備があれば、事前に伝えるか修理しておきましょう。
美容室の売却でよくある質問
個人で経営している美容室でも売れますか?
はい。個人経営の美容室でも、事業譲渡や居抜き売却によって売却することができます。この場合は、設備やお客様、スタッフなどを個別に引き継ぐ形になり、新しい経営者が保健所への届出を改めて行うのが一般的です。
売却にはどのくらいの期間がかかりますか?
居抜き売却であれば数か月で決まることもあります。事業譲渡の場合は、買手探しや条件の交渉、大家さんとの調整などが必要になるため、半年ほどかかることも珍しくありません。賃貸借契約の解約予告の期間も考えて、余裕を持って動き始めましょう。
予約サイトやSNSのアカウントも引き継げますか?
予約サイトのアカウントや、お店のSNSのアカウントも、事業譲渡で引き継ぐ対象にできることがあります。ただし、サービスによって名義の変更の手続きや決まりが異なるため、事前に確認が必要です。口コミやフォロワーはお店の大切な財産なので、引き継ぎの方法を契約の段階で決めておきましょう。
美容室の売却は、方法を比べて早めに準備しよう
美容室を手放す方法には、閉店、居抜き売却、事業譲渡、株式譲渡があり、引き継ぐものの範囲や受け取れる金額が大きく異なります。スタッフやお客様に価値がある場合は、事業譲渡などで、設備以上の価値を評価してもらえる可能性があります。
保健所への届出や物件の賃貸借契約を早めに確認し、営業しているうちに売却の準備を進めることが大切です。
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