M&Aが破談になる原因とは?よくある失敗例と、成約に近づけるための対策
M&Aで買手候補が見つかっても、必ず成約までたどり着けるとは限りません。トップ面談や基本合意まで進んだあとに、交渉が打ち切られてしまうこともあります。
M&Aが破談になると、それまでにかけた時間や費用が無駄になるだけでなく、交渉の間に情報が広がって、従業員や取引先に不安を与えてしまうこともあります。
しかし、破談の原因の多くは、事前の準備や進め方の工夫によって防ぐことができます。
ここでは、M&Aが破談になる主な原因と、よくある失敗例、成約に近づけるための対策について解説します。
M&Aはどの段階で破談になりやすい?

M&Aは、どのタイミングで破談になることが多いのですか?
条件の話し合いが本格化する基本合意の前後や、デューデリジェンス(買収監査)で会社の実態が明らかになる段階で破談になることが多くあります。最終契約の直前で白紙に戻ることもあります。
最後まで気を抜けないんですね!
M&Aの流れの中で、破談が起きやすい主な段階は次のとおりです。
| 段階 | 破談が起きやすい理由 |
|---|---|
| トップ面談 | 経営者同士の考え方や相性が合わない |
| 意向表明・基本合意 | 売却価格や条件の希望が大きく離れている |
| デューデリジェンス | 開示されていなかった問題が見つかる |
| 最終契約の交渉 | 価格の引き下げや、契約の条件で折り合わない |
| クロージングの前 | 業績の急な悪化、金融機関や取引先の同意が得られない |
M&Aが破談になる主な原因

M&Aが破談になる原因には、どのようなものがありますか?
条件の食い違い、デューデリジェンスでの問題の発覚、情報漏れ、売手の迷い、交渉中の業績の悪化、経営者同士の信頼関係の崩れなどが主な原因です。
思い当たることが、いくつもありそうです!
1. 売却価格や条件の食い違い
最も多い原因の一つが、売手と買手の希望する売却価格の差です。売手は長年育ててきた会社に思い入れがあるため、市場での評価よりも高い価格を期待してしまうことがあります。
価格だけでなく、従業員の処遇や経営者の退任の時期、社名を残すかどうかなどの条件で折り合わないこともあります。
2. デューデリジェンスで問題が見つかる
デューデリジェンスで、未払いの残業代や簿外債務、税務上の問題などが見つかると、買手は売却価格の引き下げを求めたり、M&Aそのものを見送ったりすることがあります。
特に、売手が問題を知っていながら伝えていなかった場合は、買手の不信感が大きくなり、交渉が打ち切られる原因になります。
3. 情報が漏れてしまう
交渉の途中で、M&Aの話が従業員や取引先に漏れてしまうと、従業員の退職や取引先の離れにつながり、会社の価値が下がってしまいます。その結果、買手が買収を見送ることもあります。
4. 売手の迷いや心変わり
交渉が進むにつれて、「本当に売ってしまっていいのだろうか」と経営者が迷い、交渉を止めてしまうこともあります。
会社への愛着や、従業員への思いがあるのは当然ですが、売却の目的が定まらないまま交渉を始めると、途中で決断できなくなりやすくなります。
5. 交渉中に業績が悪化する
M&Aの準備や交渉に経営者が時間を取られ、本業がおろそかになって業績が落ちてしまうことがあります。業績の悪化は売却価格の引き下げにつながり、条件が合わなくなって破談になることもあります。
6. 経営者同士の信頼関係が崩れる
交渉の進め方や連絡の行き違いなどから、売手と買手の経営者の間で不信感が生まれると、条件が合っていても交渉がまとまらなくなります。
よくある失敗例
実際には、どのような失敗が起きているのですか?
「希望価格にこだわりすぎて買手を逃した」「問題を隠して信頼を失った」「交渉が長引くうちに業績が落ちた」といったケースがよく見られます。
他の会社の失敗から学べることは多いですね!
希望価格にこだわりすぎて、買手を逃した
複数の買手候補から提案があったにもかかわらず、希望価格にこだわって交渉を続けているうちに、買手候補がほかの会社の買収を決めてしまうケースがあります。
その後、条件を下げて再び買手を探しても、以前ほど良い条件の提案が得られないこともあります。
問題を隠していたことが分かり、信頼を失った
未払いの残業代などの問題を伝えないまま交渉を進め、デューデリジェンスで発覚したことで、買手から「ほかにも隠していることがあるのではないか」と疑われ、交渉が打ち切られるケースです。
問題そのものよりも、隠していたことが信頼を失う原因になります。
交渉が長引くうちに、業績が落ちた
経営者がM&Aの対応に追われて営業活動が手薄になり、交渉の途中で業績が落ちてしまうケースです。業績の悪化を理由に価格の大幅な引き下げを求められ、合意できずに破談となることがあります。
成約に近づけるための対策
破談を防いで成約に近づけるために、どんなことができますか?
売却の目的と譲れない条件をはっきりさせること、会社の問題を早めに開示すること、情報を管理すること、本業の業績を保つこと、信頼できる仲介会社を選ぶことが大切です。
事前の準備で防げることが多いんですね!
売却の目的と譲れない条件を決めておく
「なぜ会社を売るのか」「何を一番大切にしたいのか」を、交渉を始める前にはっきりさせておきましょう。
売却価格、従業員の雇用、社名の存続、経営者の退任の時期など、条件の中で「譲れないもの」と「譲れるもの」を整理しておくと、交渉の途中で迷いにくくなります。
会社の問題は早めに開示する
会社に問題点がある場合は、デューデリジェンスで見つかる前に、仲介会社を通じて買手に伝えておきましょう。早めに伝えておけば、問題を前提にした条件で交渉を進めることができ、信頼関係も保ちやすくなります。
適正な価格を知っておく
売却価格の希望が市場の評価から大きく離れていると、交渉がまとまりにくくなります。複数の仲介会社に査定を依頼するなどして、自社の適正な価格の目安を知っておくことが大切です。
情報の管理を徹底する
M&Aの検討は、経営者とごく一部の関係者だけで進め、資料の扱いや打ち合わせの場所にも気を配りましょう。
本業の業績を保つ
M&Aの交渉中も、これまでどおり本業に力を入れることが大切です。仲介会社にできることは任せ、経営者は会社の運営に集中できる体制をつくりましょう。
信頼できる仲介会社を選ぶ
M&Aの進め方や交渉の調整は、仲介会社の経験によって大きく変わります。自社の業種や規模での実績があり、売手の考えを丁寧に聞いてくれる仲介会社を選ぶことが、成約への近道です。
売手が交渉中に気をつけたい心構え
交渉を進めるうえで、売手として持っておきたい心構えはありますか?
買手の立場も考えること、すべての条件を100%通そうとしないこと、仲介会社と密に連絡をとることが大切です。M&Aは、売手と買手が歩み寄ってはじめてまとまるものです。
相手の立場に立って考えることも、大切なんですね!
買手の立場も考える
買手は、多くの資金をかけて会社を引き継ぎ、その後の経営に責任を持つことになります。買手が慎重になるのは当然のことと理解し、質問や資料の依頼には、できるだけ早く丁寧に応えるようにしましょう。
すべての条件を通そうとしない
売却価格、従業員の処遇、引き継ぎの期間など、すべての条件で自分の希望を100%通そうとすると、交渉がまとまりにくくなります。譲れない条件を守りつつ、ほかの条件では歩み寄る姿勢が大切です。
仲介会社と密に連絡をとる
交渉の進み具合や、気になっていることは、こまめに仲介会社に伝えましょう。不安や迷いを一人で抱え込むと、判断が遅れたり、交渉が止まったりする原因になります。
破談になってしまったときの対応
もしM&Aが破談になってしまったら、どうすればいいですか?
破談の原因を振り返り、改善できる点を見直したうえで、ほかの買手候補を探すことができます。一度破談になっても、別の相手と成約に至るケースは少なくありません。
一度の破談で、あきらめる必要はないんですね!
破談になった場合は、まず仲介会社と一緒に、その原因を振り返りましょう。価格の希望が高すぎたのであれば見直しを、会社の課題が理由であれば改善を検討します。
また、交渉の中で開示した情報は、秘密保持契約によって守られているかを確認し、情報が外に広がらないよう注意しましょう。
M&Aの破談でよくある質問
破談について、ほかにも気になることがあります。
「破談になったら費用はどうなるのか」「売手から交渉を断ってもいいのか」といったご質問をよくいただきます。
どちらも知っておきたいです!
破談になったら、費用はどうなりますか?
成功報酬は、M&Aが成約したときに支払うものなので、破談になった場合は原則としてかかりません。ただし、着手金や中間金は返金されないことが多いため、仲介契約を結ぶ前に、どの段階でどの費用がかかるのかを確認しておきましょう。
売手の側から交渉を断ってもいいですか?
はい。最終契約を結ぶ前であれば、条件が合わない場合や、相手に会社を任せられないと感じた場合は、交渉を断ることができます。断る場合は、仲介会社を通じて伝え、秘密保持などの約束は守るようにしましょう。
破談の原因を知って、M&Aの成約に近づけよう
M&Aは、条件の食い違いやデューデリジェンスでの問題の発覚、情報漏れ、売手の迷い、交渉中の業績の悪化などによって、破談になることがあります。
売却の目的と譲れない条件をはっきりさせ、会社の問題を早めに開示し、本業の業績を保ちながら交渉を進めることで、破談のリスクを減らすことができます。
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