酒屋・酒類卸のM&A|酒類販売業免許は引き継げる?売却前に知りたい12の疑問
地域の酒屋や、飲食店にお酒を届ける酒類卸の会社では、経営者の高齢化や後継者不足が進んでいます。また、人口の減少やお酒を飲む人の減少、ネット通販の広がりなど、業界を取り巻く環境も大きく変わっています。
一方で、お酒を販売するには「酒類販売業免許」が必要で、特に卸売の免許は新しく取るのが難しいといわれています。そのため、免許を持っている酒屋や酒類卸の会社を、M&Aで引き継ぎたいと考える買手も少なくありません。
この記事では、酒屋や酒類卸の売却を考えている経営者の方から寄せられることの多い疑問に、一つずつ答える形で解説します。気になる質問から読んでみてください。
免許について

Q1. お酒を売るには、どのような免許が必要ですか?
酒屋や酒類卸を営むには、どのような免許が必要なのですか?
お酒を販売するには、販売場ごとに、税務署から酒類販売業免許を受ける必要があります。お客様に直接売る「小売業」と、酒屋や飲食店などに売る「卸売業」で、免許の種類が分かれています。
売る相手によって、免許が違うんですね!
酒類販売業免許は、酒税法にもとづいて、販売場ごとに税務署長から受ける免許です。主な種類は次のとおりです。[注1]
| 免許の種類 | 主な内容 |
|---|---|
| 一般酒類小売業免許 | 店舗で、お客様や飲食店などにお酒を売る |
| 通信販売酒類小売業免許 | インターネットやカタログで、広い地域のお客様に売る |
| 酒類卸売業免許 | 酒屋や飲食店に卸すなど、お酒の販売業者などに売る(扱えるお酒の範囲によって種類が分かれる) |
Q2. 会社を売ったら、免許はどうなりますか?
株式譲渡の場合は、免許を持っている会社そのものが変わらないため、免許は原則としてそのまま続きます。ただし、役員などが変わった場合は、税務署への届出が必要です。
事業譲渡の場合は、免許は引き継げず、引き継ぐ側が新たに免許を受ける必要があるのが一般的です。合併や会社分割の場合は、手続きによって扱いが異なるため、事前に税務署に確認しましょう。
| M&Aの方法 | 免許の扱い |
|---|---|
| 株式譲渡 | 会社が変わらないため、原則としてそのまま続く(役員の変更などは届出が必要) |
| 事業譲渡 | 免許は引き継げないため、引き継ぐ側が新たに免許を受ける必要がある |
| 合併・会社分割 | 手続きによって扱いが異なるため、税務署への事前の確認が必要 |
Q3. 事業譲渡で売る場合、何に気をつければいいですか?
事業譲渡で売る場合、どのようなことに注意が必要ですか?
引き継ぐ側が新たに免許を受けるまで、お酒を販売できない期間が生じないよう、スケジュールを調整することが大切です。免許の審査には一定の期間がかかるため、早めに準備を始めましょう。
免許の手続きにかかる時間も、計画に入れておく必要があるんですね!
新しく免許を受けるには、販売場の要件や経営の基礎などの審査を受ける必要があります。また、卸売の免許の中には、新しく取ることが難しいものもあります。そのため、免許の価値を活かしたい場合は、株式譲渡を選ぶことが多くあります。
Q4. 卸売の免許は、なぜ価値があるのですか?
酒類卸売業免許の中には、扱えるお酒の範囲が広いものほど、新しく取るのが難しいものがあります。そのため、すでに卸売の免許を持っている会社は、それ自体に大きな価値があると考えられています。
ただし、免許があるだけでなく、実際に取引先や仕入れ先との関係があり、事業として成り立っていることが評価の前提になります。
Q5. 酒類販売管理者とは何ですか?
お酒を小売する販売場では、酒類販売管理者を選任し、決められた研修を受けさせる必要があります。経営者自身が管理者になっている場合は、売却後に後任をどうするかを決めておきましょう。
価値と評価について

Q6. 買手は、どこを評価するのですか?
酒屋や酒類卸の売却では、買手はどこを見ているのですか?
免許の種類、取引先の飲食店や酒屋の数、仕入れ先との関係、扱っている商品の強み、配送の体制、店舗の立地などが主なポイントです。
免許と取引先の両方が、大切な評価のポイントなんですね!
| 評価のポイント | 内容 |
|---|---|
| 免許 | 免許の種類、扱えるお酒の範囲、販売場の数 |
| 取引先 | 飲食店や酒屋などの取引先の数、取引の年数、売上の偏り |
| 仕入れ先 | 酒蔵やメーカーとの関係、特約店として扱っている銘柄 |
| 商品 | 地酒や限定品など、ほかでは手に入りにくい商品 |
| 配送 | 配送の車両と人員、配送できる地域 |
| 店舗 | 立地、広さ、所有か賃貸か |
| 財務 | 利益の安定性、在庫の量、売掛金の回収の状況 |
Q7. 酒蔵との特約店の関係は、引き継げますか?
人気のある地酒などは、酒蔵が取引する酒屋を限定していることがあります。こうした関係は、長年の信頼で成り立っているため、経営者が変わることについて、酒蔵の理解を得ておくことが大切です。売却後も取引が続くよう、新しい経営者と一緒にあいさつに行くなどの配慮をしましょう。
Q8. 在庫は、どのように扱いますか?
お酒の在庫は、売却の時点で数を数え、価格とは別に精算することが多くあります。古い在庫や売れ残りの在庫がある場合は、その扱いも買手と相談しておきましょう。
手続きと準備について
Q9. 売却前に、どんな書類を準備すればいいですか?
| 書類の種類 | 主な内容 |
|---|---|
| 財務の書類 | 直近3期分の決算書、取引先別の売上、在庫の一覧 |
| 免許の書類 | 酒類販売業免許の通知書、変更の届出の控え |
| 取引の書類 | 主な取引先・仕入れ先との契約書、特約店の契約 |
| 店舗の書類 | 賃貸借契約書、図面 |
| 人の書類 | 従業員の一覧、酒類販売管理者の研修の記録 |
Q10. 売却を進めるとき、税務署への手続きはありますか?
株式譲渡で役員が変わる場合は、税務署への届出が必要です。事業譲渡で引き継ぐ側が新たに免許を受ける場合は、引き継ぐ側が申請を行い、売手は廃業などの届出を行います。具体的な手続きは、販売場を管轄する税務署に事前に確認しておきましょう。
その他の疑問
Q11. 小さな町の酒屋でも、売れますか?
地方の小さな酒屋でも、買手は見つかりますか?
地域の飲食店との取引が安定している、地酒の特約店になっているなどの強みがあれば、買手が見つかることはあります。近くの酒屋や酒類卸の会社が、取引先を増やすために引き継ぐこともあります。
地域ならではの強みが、評価されることもあるんですね!
Q12. 売却後、経営者はどうなりますか?
取引先や仕入れ先との関係を引き継ぐため、一定期間、役員や顧問として会社に残ることを求められることが多くあります。特に、経営者自身が酒蔵や飲食店との窓口になっている場合は、引き継ぎの期間を長めにとることが大切です。
ネット通販でお酒を売っている場合は、どうなりますか?
インターネットで広い地域のお客様にお酒を売る場合は、通信販売酒類小売業免許が必要です。この免許も、株式譲渡であれば原則としてそのまま続きますが、事業譲渡の場合は、引き継ぐ側が新たに免許を受ける必要があります。あわせて、通販サイトのドメインやモールのアカウント、お客様の情報の引き継ぎ方も決めておきましょう。
売却価格は、どのように決まりますか?
会社の純資産に、事業が生み出す利益の数年分を加えて考える方法がよく使われます。酒類卸の場合は、扱える範囲の広い免許を持っていることや、取引先の数と安定性が、価格に大きく影響します。在庫の量や、売掛金がきちんと回収できているかも確認されるポイントです。
業界の背景について
酒屋や酒類卸で、M&Aが増えているのはなぜですか?
酒屋や酒類卸では、なぜM&Aが増えているのですか?
経営者の高齢化と後継者不足に加えて、お酒の消費量の減少や、ネット通販・量販店との競争で、小さな酒屋が単独で続けることが難しくなっているためです。一方で、免許や取引先を持つ会社を引き継ぎたい買手は多くいます。
厳しい環境の中でも、免許と取引先には価値があるんですね!
酒屋や酒類卸でM&Aが増えている主な背景には、次のようなものがあります。
- 後継者不足:家族で営んできた酒屋で、子どもが継がないケースが増えている
- 消費の変化:お酒を飲む人が減り、家庭でお酒を買う機会も減っている
- 競争の激化:ネット通販や大型の量販店、コンビニとの競争が厳しくなっている
- 配送の負担:飲食店への配送を担う人材の確保や、燃料費の上昇が負担になっている
- 業界の再編:大きな酒類卸が、地域や取引先を広げるためにM&Aを活用している
売却を考え始めるのは、どのタイミングがよいですか?
取引先の飲食店が減り始める前や、配送の担当者が辞める前など、事業が安定しているうちに相談を始めるのがおすすめです。免許の手続きや、酒蔵・取引先への説明にも時間がかかるため、引退したい時期の2〜3年前から準備を始めると安心です。
酒屋・酒類卸の主な買手
| 買手の種類 | 主な目的 |
|---|---|
| 地域の酒類卸 | 取引先や配送できる地域を増やしたい |
| 全国規模の酒類卸 | 新しい地域に進出したい |
| 酒屋のチェーン | 店舗を増やしたい |
| 飲食店のグループ | お酒の仕入れを、グループの中で行いたい |
| 酒蔵・メーカー | 販売の経路を確保したい |
酒屋・酒類卸のM&Aは、免許と取引先の引き継ぎがカギ
酒屋や酒類卸のM&Aでは、酒類販売業免許を引き継げるかが大きなポイントです。株式譲渡の場合は免許がそのまま続きますが、事業譲渡の場合は、引き継ぐ側が新たに免許を受ける必要があります。
酒蔵との特約店の関係や、飲食店との取引、在庫の扱いなども含めて、早めに準備を進めることが、売却を成功させるポイントです。
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「長年続けてきた酒屋を、次の世代に引き継ぎたい」とお考えの方は、ぜひM&A一括見積の窓口にご相談ください。
[注1] 国税庁:酒類の販売業免許の手引