会社を売ったあとの生活はどうなる?経営者が知っておきたいお金・保険・仕事の注意点

会社を売ったあとの生活はどうなる?経営者が知っておきたいお金・保険・仕事の注意点

会社の売却を考え始めると、「売ったあと、自分の生活はどうなるのだろう」と気になる経営者様も多いのではないでしょうか。

長年、会社の経営を中心に生活してきた経営者にとって、会社を手放すことは、収入や社会保険、毎日の過ごし方まで、生活全体に関わる大きな変化です。

売却後に慌てないためには、お金のことや手続きのこと、売却後の仕事のことを、売却の前から考えておくことが大切です。

ここでは、会社を売ったあとの経営者の生活について、売却代金と税金、健康保険や年金、引き継ぎ期間の過ごし方、新しい仕事を始めるときの注意点、売却代金の管理について解説します。

会社を売ったあと、生活はどう変わる?

引退後の計画を考える様子
 

会社を売ると、経営者の生活はどのように変わるのですか?

 
 

役員報酬がなくなり、まとまった売却代金を受け取ることになります。あわせて、健康保険や年金の手続き、売却後の仕事や時間の使い方なども変わります。

 
 

お金だけでなく、生活のいろいろなことが変わるんですね!

 

会社を売却すると、経営者の生活には主に次のような変化があります。

変わること売却前売却後
収入毎月の役員報酬売却代金(一時金)、顧問料など
健康保険会社の健康保険国民健康保険や任意継続など
年金厚生年金に加入年齢により国民年金や年金の受給
仕事経営者として会社を運営引き継ぎ、顧問、引退、新しい仕事など
時間の使い方経営の仕事が中心自由に使える時間が増える

売却代金の受け取りと税金

売却後の生活について相談する様子
 

売却代金は、受け取ったらすべて自由に使えるのですか?

 
 

いいえ。株式譲渡の場合、売却で得た利益には約20%の税金がかかり、売却した翌年に確定申告をして納めます。納税に必要な金額は、必ず手元に残しておきましょう。

 
 

翌年の税金の分を、先に分けておく必要があるんですね!

 

株式譲渡で会社を売却した場合、経営者個人に、売却で得た利益(譲渡所得)に対する所得税と住民税がかかります。

税金は、売却代金を受け取ったときに差し引かれるわけではなく、売却した翌年の確定申告で納めます。売却代金を受け取ったら、納税に必要な金額を別の口座に分けておくなどして、使ってしまわないようにしましょう。

翌年の負担にも注意

譲渡所得があると、翌年の住民税や、国民健康保険料などの金額にも影響することがあります。売却した年の翌年は、税金や保険料の負担が大きくなる場合があるため、あらかじめ税理士に試算してもらうと安心です。

健康保険と年金の切り替え

 

会社を辞めたら、健康保険や年金はどうなるのですか?

 
 

会社の役員を退任すると、会社の健康保険と厚生年金から外れます。健康保険は、国民健康保険に入るか、一定の条件で会社の健康保険を続ける「任意継続」を選ぶのが一般的です。

 
 

手続きを忘れないように、事前に確認しておきたいです!

 

健康保険の主な選択肢

選択肢内容ポイント
国民健康保険お住まいの市区町村の保険に入る保険料は前年の所得をもとに計算される
任意継続退職後も一定期間、会社の健康保険を続ける退職日から20日以内の手続きが必要。期間は最長2年
家族の扶養に入る家族が加入する健康保険の扶養に入る収入の条件を満たす必要がある

売却した年の翌年は、譲渡所得の影響で国民健康保険料が高くなることがあります。任意継続と国民健康保険のどちらが有利かは、年齢や所得によって変わるため、事前に比べておきましょう。

年金

役員を退任すると、厚生年金の加入者ではなくなります。60歳未満の場合は、国民年金に加入する手続きが必要です。年金の受給年齢に近い場合は、受給の時期や金額を、年金事務所などで確認しておくと安心です。

引き継ぎ期間の過ごし方

 

会社を売ったら、すぐに引退できるのですか?

 
 

多くの場合、売却後も数か月〜1年程度、会社に残って引き継ぎを行います。期間や役職、報酬は、最終契約で決めておくのが一般的です。

 
 

売ってすぐ自由になるわけではないんですね!

 

M&Aでは、売却後も一定期間、元の経営者が会社に残り、新しい経営者への引き継ぎや、従業員・取引先との橋渡しを行うことがよくあります。

引き継ぎ期間中は、顧問や相談役などの立場で、報酬を受け取りながら会社に関わる形が一般的です。

立場の変化に慣れる

これまで自分で決めていたことを、新しい経営者が決めるようになります。経営の方針が自分の考えと違うこともあるかもしれませんが、引き継ぎ期間中は、新しい経営者を支える立場に立つことが大切です。

引き継ぎの内容を決めておく

「誰に、何を、いつまでに引き継ぐか」を、買手と事前に話し合っておくと、引き継ぎがスムーズに進み、予定どおりの時期に引退しやすくなります。

売却後に新しい仕事を始めるとき

 

会社を売ったあとに、新しい仕事を始めてもいいのですか?

 
 

基本的には自由ですが、M&Aの契約で定めた「競業避止義務」に注意が必要です。売却した事業と競合する仕事は、一定期間できないことがあります。

 
 

契約の内容を、先に確認しておくことが大切なんですね!

 

競業避止義務を確認する

M&Aの契約では、売手が売却後の一定期間、売却した事業と競合する事業を行わないことを約束するのが一般的です。売却後に起業や再就職を考えている場合は、交渉の段階でその考えを買手に伝え、制限の範囲を確認しておきましょう。

経験を生かす道もある

売却後は、これまでの経営の経験を生かして、ほかの会社の顧問や社外役員になったり、地域の活動に関わったりする経営者もいます。売却で得た資金をもとに、新しい事業に挑戦する人もいます。

新しく仕事を始める場合は、売却した会社の取引先や従業員との関係にも配慮が必要です。契約で禁止されていなくても、元の取引先に声をかけたり、元の社員を誘ったりすると、買手との信頼関係が損なわれるおそれがあります。

売却代金の管理で気をつけたいこと

 

まとまったお金を受け取ったら、どのように管理すればいいですか?

 
 

まずは税金の分を分けておき、引退後の生活費の計画を立てることが大切です。急いで大きな投資や買い物をせず、信頼できる専門家と相談しながら使い道を決めましょう。

 
 

大きなお金だからこそ、落ち着いて考える必要がありますね!

 

生活費の計画を立てる

引退後に毎月どのくらいの生活費が必要か、年金がいくら受け取れるかを整理し、売却代金をどのくらいの期間でどう使うかの計画を立てましょう。

急いで投資をしない

まとまったお金を受け取ると、投資や不動産などの勧誘を受けることが増える場合があります。よく分からない話にすぐに乗らず、内容を理解し、信頼できる専門家に相談してから判断しましょう。

相続のことも考えておく

売却代金は、将来の相続の対象にもなります。家族への資産の引き継ぎ方についても、税理士などの専門家と早めに相談しておくと安心です。

売却の前に準備しておきたいこと

 

売却後の生活のために、売却の前から準備しておくことはありますか?

 
 

会社と個人の財産の整理、個人保証の解除の確認、家族との話し合いの3つは、売却の前に済ませておきたいことです。

 
 

売ったあとに慌てないよう、先に整理しておきたいです!

 

会社と個人の財産を整理する

経営者が個人名義で持っている土地や建物を会社が使っている場合や、会社名義の車や保険を個人で使っている場合は、売却の前にどちらのものにするかを整理しておく必要があります。

経営者が会社にお金を貸している、または会社から借りている場合も、売却のときにどのように精算するかを決めておきましょう。

個人保証が外れるかを確認する

会社の借入金について経営者が個人保証をしている場合は、売却のときに保証を外してもらえるかを必ず確認しましょう。保証が残ったまま引退すると、経営に関わっていない会社の借金について、責任を負い続けることになります。

家族と話し合っておく

会社の売却は、家族の生活にも関わる大きな決断です。売却の理由や、売却後の生活の計画、売却代金の使い道などを、家族と話し合っておくと安心です。家族が会社で働いている場合は、売却後の家族の処遇についても確認しておきましょう。

売却後の計画を書き出してみる

売却後1年、3年、5年の間に、どのように過ごしたいか、どのくらいのお金が必要かを書き出してみましょう。計画がはっきりしていれば、売却の条件を考えるときにも、自分にとって何が大切かを判断しやすくなります。

会社を売ったあとの生活でよくある質問

 

売却後の生活について、ほかにも気になることがあります。

 
 

「売却後に会社の様子を見に行ってもいいのか」「売却後に後悔しないためには何をすればいいのか」といったご質問をよくいただきます。

 
 

どちらも、気になっていたことです!

 

売却後に、会社の様子を見に行ってもいいですか?

引き継ぎ期間が終わったあとも、新しい経営者と良い関係が続いていれば、会社を訪ねることもできます。ただし、従業員が新しい経営者の方針に戸惑わないよう、経営に口を出すことは控えるのがよいでしょう。

売却後に後悔しないためには、どうすればいいですか?

売却の目的と、売却後にどのように過ごしたいかを、売却の前からはっきりさせておくことが大切です。長年打ち込んできた仕事がなくなることで、気持ちにぽっかり穴が空いたように感じる経営者もいます。趣味や地域の活動、家族との時間など、売却後に力を注ぎたいことを考えておくとよいでしょう。「従業員の雇用を守りたい」「引退後は家族との時間を大切にしたい」など、自分が大切にしたいことを決めておけば、条件の交渉でも迷いにくくなります。

売却後の生活まで考えて、会社の売却を進めよう

会社を売ったあとは、収入の形や健康保険・年金、仕事、時間の使い方など、経営者の生活が大きく変わります。売却代金にかかる税金の分を分けておくこと、健康保険や年金の手続きを忘れないこと、競業避止義務を確認しておくことが大切です。

売却の前から、売却後の生活や資金の計画を立てておくことで、安心して新しい生活を始めることができます。

株式会社つなぐコンサルティングが運営する「M&A一括見積の窓口」では、会社の売却や事業承継を検討している経営者様向けに、M&A仲介会社の一括見積もりサービスを提供しています。

「売却後の生活まで考えて相談したい」とお考えの方は、ぜひM&A一括見積の窓口にご相談ください。