会社を売るベストなタイミングはいつ?売却を考え始めたい5つのサインと準備期間
「いつかは会社を売ることも考えたいが、今がそのタイミングなのか分からない」
会社の売却を意識し始めた経営者様の多くが、このような悩みを抱えています。
会社の売却には、売却価格が上がりやすい時期と、下がりやすい時期があります。同じ会社でも、売るタイミングによって売却価格や買手の見つかりやすさが大きく変わることも少なくありません。
また、M&Aは相手探しから成約まで時間がかかるため、「売りたい」と思ったときにすぐ売れるとは限りません。タイミングを逃さないためには、早めに準備を始めることが大切です。
ここでは、会社を売るのに適したタイミングの考え方と、売却を考え始めたい5つのサイン、準備にかかる期間、タイミングを逃すと起きることについて解説します。
会社を売るタイミングが大切な理由

会社を売るのに、タイミングはそんなに大事なのですか?
はい。売却価格は、直近の業績や会社の将来性をもとに評価されるため、業績が良いときに売るほど高く評価されやすくなります。また、経営者の年齢や体調によっては、選べる選択肢が限られてしまうこともあります。
同じ会社でも、売る時期で結果が変わるんですね!
会社の売却価格は、会社の純資産に加えて、これから生み出す利益の見込みをもとに計算されるのが一般的です。そのため、業績が伸びているときや安定しているときは、将来性も高く評価され、売却価格が上がりやすくなります。
反対に、業績が落ち込んでからでは、将来の利益の見込みも低く評価され、売却価格が下がったり、買手が見つかりにくくなったりします。
「売りたいとき」と「売れるとき」は違う
経営者が「そろそろ売りたい」と考えるのは、体力的に厳しくなったときや、業績が伸び悩んだときであることが多いものです。しかし、買手から見て魅力的なのは、業績が良く、経営者がまだ元気に会社を動かしているときです。
この「売りたいとき」と「売れるとき」のずれを埋めるためには、余裕のあるうちから売却を選択肢の一つとして考えておくことが大切です。
売却を考え始めたい5つのサイン

自分の会社が売り時かどうか、どうやって判断すればいいですか?
業績が好調なとき、後継者が決まらないとき、経営者が60代を迎えたとき、業界で再編が進んでいるとき、事業をさらに伸ばすための資金や人材が足りないとき、の5つは、売却を考え始めたいサインです。
当てはまるものがあるか、一つずつ確認してみたいです!
1. 業績が好調なとき
業績が良く、利益が安定して出ているときは、会社の評価が最も高くなりやすい時期です。
「業績が良いのに、なぜ売るのか」と思われるかもしれませんが、買手にとっては、成長している会社こそ魅力的です。好調なうちに売却を検討すれば、条件の良い買手を選べる可能性も高くなります。
2. 後継者が決まらないとき
子どもが会社を継がない、社内に経営を任せられる人がいないなど、後継者が決まらない場合は、M&Aによる第三者への承継を検討するタイミングです。
後継者の育成には5〜10年かかるともいわれるため、後継者のめどが立たないまま年月が過ぎると、選択肢がどんどん狭まってしまいます。
3. 経営者が60代を迎えたとき
経営者の年齢は、売却のタイミングを考えるうえで大切な目安です。
M&Aの準備から成約、その後の引き継ぎまでを考えると、数年はかかることが多くあります。60代のうちに売却の検討を始めておくと、体力的にも余裕を持って引き継ぎまで進めることができます。
4. 業界で再編が進んでいるとき
同じ業界で、M&Aによる会社の統合や買収が活発に行われているときは、買手が多く、売却しやすい時期といえます。
人手不足や市場の縮小などを背景に、業界全体で再編が進んでいる場合は、買手からの関心も高まりやすくなります。
5. 事業を伸ばすための資金や人材が足りないとき
「事業をもっと伸ばしたいが、自社だけでは資金や人材が足りない」というときも、M&Aを考えるタイミングです。
資本力や販路を持つ会社の傘下に入ることで、自社だけでは難しかった成長が実現できることもあります。M&Aは、引退のためだけでなく、会社を成長させるための手段にもなります。
売却価格が上がりやすい時期・下がりやすい時期
売却価格が上がりやすい時期と、下がりやすい時期を比べることはできますか?
会社の業績、経営者の状況、業界の動向の3つの点で比べると分かりやすいです。表にまとめました。
表で見ると、今の自社がどちらに近いか分かりますね!
| 比較の観点 | 売却価格が上がりやすい時期 | 売却価格が下がりやすい時期 |
|---|---|---|
| 会社の業績 | 売上・利益が伸びている、安定している | 赤字が続いている、業績が落ち込んでいる |
| 経営者の状況 | 元気で、引き継ぎに十分な時間をかけられる | 体調を崩している、急いで売る必要がある |
| 取引先・従業員 | 取引先が分散し、キーマンが定着している | 主要な取引先や社員が離れつつある |
| 業界の動向 | 再編が進み、買手が多い | 市場が縮小し、買手が少ない |
| 準備の状況 | 決算書や契約書が整理されている | 資料が整っておらず、調査に時間がかかる |
特に注意したいのは、「急いで売る必要がある」状況です。経営者の体調の悪化や資金繰りの悪化などで急いで売ろうとすると、買手との交渉で不利になり、売却価格が下がりやすくなります。
売却の準備にかかる期間
売却を決めてから、実際に売れるまでどのくらいかかりますか?
相手探しから成約までは、半年〜1年ほどかかるのが一般的です。その前の準備や、成約後の引き継ぎも含めると、2〜3年ほどを見ておくと安心です。
思っていたより長いので、早めに動き始めたいです!
会社の売却は、次のような流れで進むのが一般的です。
| 段階 | 主な内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 準備・磨き上げ | 会社の現状の把握、課題の解消、資料の整理 | 数か月〜1年程度 |
| 相手探し・交渉 | 仲介会社への相談、買手探し、トップ面談、基本合意 | 数か月〜半年程度 |
| デューデリジェンス・契約 | 買手の調査、最終条件の交渉、最終契約 | 1〜3か月程度 |
| 引き継ぎ | 新しい経営者への引き継ぎ、取引先へのあいさつ | 数か月〜1年程度 |
「5年後に引退したい」と考えているなら、遅くとも2〜3年前には準備を始めておくと、余裕を持って進めることができます。
準備期間にやっておきたいこと
- 会社の現状(財務、取引先、従業員、契約など)を整理する
- 経営者に頼っている業務を、社員に引き継いでおく
- 未払いの残業代や、税務上の問題などがないか確認する
- 決算書や契約書などの資料を整理しておく
- 専門家に、会社の価値を簡易的に査定してもらう
タイミングを逃すと起きること
売却を先延ばしにすると、どのようなことが起きるのですか?
業績や経営者の体調の変化によって、売却価格が下がったり、買手が見つからなかったりすることがあります。最悪の場合、廃業しか選べなくなることもあります。
「まだ大丈夫」と思っているうちに動くことが大切なんですね!
売却のタイミングを逃すと、次のようなことが起こるおそれがあります。
- 業績が落ち込み、売却価格が大きく下がる
- 経営者の体調が悪化し、引き継ぎに時間をかけられなくなる
- キーマンが退職し、会社の価値が下がる
- 業界の再編が一段落し、買手が少なくなる
- 買手が見つからず、廃業を選ばざるを得なくなる
特に、経営者の急な病気やけがは、誰にでも起こり得ることです。経営者が会社を動かせなくなってからでは、M&Aの交渉を進めることも難しくなります。
売るタイミングに合わせて会社の価値を高める方法
売るまでに時間があるなら、その間に会社の価値を上げることはできますか?
はい。取引先を広げる、経営者に頼っている業務を社員に任せる、会社の経費を整理する、といった「磨き上げ」を進めることで、買手からの評価を高めることができます。
準備の期間を、会社を良くする期間にもできるんですね!
取引先を広げる
売上の大部分を1〜2社の取引先に頼っていると、その取引先との関係が変わったときのリスクが大きいと見られ、評価が下がりやすくなります。新しい取引先を少しずつ増やしておくと、会社の安定性が高く評価されます。
経営者に頼っている業務を引き継ぐ
営業や技術、取引先との交渉などを経営者一人が担っていると、経営者が引退したあとに会社が回らなくなるのではないかと心配されます。社員が業務を担える仕組みをつくっておくことで、買手は安心して会社を引き継ぐことができます。
会社の経費と個人の支出を分ける
会社の経費に経営者個人の支出が混ざっていると、会社の本当の利益が分かりにくくなります。経費を整理し、会社の実態が数字で分かるようにしておくと、正しく評価されやすくなります。
会社を売るタイミングでよくある質問
売却のタイミングについて、ほかにも気になることがあります。
「まだ売るか決めていないが、相談してもいいのか」「決算の前と後のどちらがいいのか」といったご質問をよくいただきます。
どちらも、ぜひ知っておきたいです!
まだ売るか決めていなくても、相談していいですか?
はい。多くの仲介会社では、「まずは自社の価値を知りたい」「売却が選択肢になるか確かめたい」という段階からの相談を受け付けています。
相談したからといって、売却が決まるわけではありません。早い段階で自社の価値や課題を知っておくことで、売るかどうか、いつ売るかを落ち着いて判断できるようになります。
決算の前と後、どちらで売却を進めるのがいいですか?
売却価格は、直近の決算の数字をもとに評価されることが多いため、業績が良い決算が出たあとに売却を進めると、評価が高まりやすくなります。
ただし、決算を待っている間に業界の状況が変わることもあるため、決算の時期だけにこだわらず、仲介会社と相談しながら進める時期を決めましょう。
会社を売るタイミングを見極めて、早めに準備を始めよう
会社を売るタイミングは、業績や経営者の年齢、業界の動向などによって変わります。売却価格が上がりやすいのは、業績が良く、経営者が元気で、引き継ぎに十分な時間をかけられる時期です。
M&Aは準備から引き継ぎまで数年かかることもあるため、「まだ大丈夫」と思えるうちに、売却を選択肢の一つとして考え始めることが大切です。
株式会社つなぐコンサルティングが運営する「M&A一括見積の窓口」では、会社の売却を検討している経営者様向けに、M&A仲介会社の一括見積もりサービスを提供しています。
「今が売り時なのか知りたい」「自社の価値を複数の仲介会社に査定してもらいたい」とお考えの方は、ぜひM&A一括見積の窓口にご相談ください。