MBO・EBOとは?経営陣や従業員に会社を引き継ぐ方法と、資金の準備・進め方を解説

MBO・EBOとは?経営陣や従業員に会社を引き継ぐ方法と、資金の準備・進め方を解説

「親族に後継者はいないが、長年一緒に働いてきた社員に会社を任せたい」

そう考える経営者様は少なくありません。会社のことをよく知る役員や社員が引き継げば、事業の方針や社風を守りやすく、取引先や従業員にも安心感があります。

このように、社内の経営陣や従業員が会社の株式を買い取って経営を引き継ぐ方法を、「MBO」や「EBO」といいます。

一方で、MBO・EBOには、後継者となる社員が株式を買い取るための資金をどう用意するかという、大きな課題があります。

ここでは、MBO・EBOの意味と違い、メリット・デメリット、資金の準備の方法、進め方と注意点について解説します。

MBO・EBOとは?

株式の買取資金について相談する社員
 

MBOとEBOは、それぞれどのような意味なのですか?

 
 

MBOは「マネジメント・バイアウト」の略で、会社の役員などの経営陣が株式を買い取って経営を引き継ぐ方法です。EBOは「エンプロイー・バイアウト」の略で、役員ではない従業員が株式を買い取って引き継ぐ方法です。

 
 

どちらも、社内の人が会社を買い取るということなんですね!

 

MBOとEBOは、どちらも「社内の人が、オーナーから株式を買い取って会社を引き継ぐ」方法です。違いは、誰が引き継ぐかにあります。

項目MBOEBO
正式名称マネジメント・バイアウトエンプロイー・バイアウト
引き継ぐ人役員などの経営陣役員ではない従業員
経営の経験ある程度ある少ない場合が多い
主な課題買取資金の準備買取資金の準備、経営者としての育成

事業承継の方法として見ると、MBO・EBOは「従業員承継(親族外承継)」の一つにあたります。ただし、株式を「買い取る」という点で、無償で株式を譲り受ける場合とは異なります。

MBO・EBOのメリット

経営を引き継ぐ社員と握手する経営者
 

社内の人に会社を引き継ぐことには、どのようなメリットがありますか?

 
 

会社のことをよく知る人が引き継ぐため、経営方針や社風を守りやすく、従業員や取引先からも受け入れられやすいことが大きなメリットです。オーナーは、株式の売却代金も受け取れます。

 
 

会社の文化をそのまま残せるのは、安心ですね!

 

経営方針や社風を守りやすい

社内の人が引き継ぐため、これまでの経営方針や社風、仕事のやり方を大きく変えずに、事業を続けることができます。

従業員や取引先の安心感が大きい

よく知っている人が新しい経営者になるため、従業員や取引先の不安が小さく、引き継ぎがスムーズに進みやすくなります。

オーナーが売却代金を受け取れる

株式を売却するため、オーナーは売却代金を受け取り、引退後の資金にあてることができます。

情報が外に出にくい

社外の買手を探す場合と比べて、会社の情報を多くの相手に開示する必要がないため、情報漏れのリスクを小さくできます。

MBO・EBOのデメリット

 

反対に、MBO・EBOの難しいところはどこですか?

 
 

最大の課題は、後継者が株式を買い取るための資金を用意できるかどうかです。また、借入金の個人保証を後継者が引き継ぐことへの不安や、経営者としての力量も課題になります。

 
 

気持ちだけでは、引き継げないということなんですね!

 

買取資金の負担が大きい

会社の株式の価値が高いほど、後継者が用意しなければならない資金も大きくなります。社員個人の貯金だけで、数千万円〜数億円の資金を用意するのは難しいことがほとんどです。

個人保証を引き継ぐ不安

会社の借入金にオーナーが個人保証をしている場合、後継者がその保証を引き継ぐことを求められることがあります。社員にとっては大きな負担であり、引き継ぎをためらう理由になることもあります。

経営者としての経験が足りないことも

特にEBOの場合、後継者が経営の経験を十分に持っていないことがあります。財務や人事など、経営者として必要な知識を身につけるための準備期間が必要です。

売却価格が低くなりやすい

社内の人が買い取る場合、資金の制約から、外部の会社に売却する場合よりも売却価格が低くなることがあります。

MBO・EBOの資金の準備の方法

 

後継者が資金を用意するには、どのような方法がありますか?

 
 

後継者が新しく会社をつくり、その会社が金融機関から借り入れて株式を買い取る方法がよく使われます。投資ファンドから出資を受けたり、オーナーへの支払いを分割にしたりする方法もあります。

 
 

個人で全部用意しなくても、方法があるんですね!

 

受け皿会社をつくって借り入れる

後継者が出資して新しい会社(受け皿会社)をつくり、その会社が金融機関から借り入れた資金で、オーナーから株式を買い取る方法です。

借入金は、買い取った会社の今後の利益から返済していくことになります。後継者個人が全額を借りる必要がないため、MBO・EBOでよく使われる方法です。

投資ファンドからの出資

投資ファンドから出資を受け、資金の一部を補う方法もあります。ファンドは一定期間後に株式を売却して利益を得ることを目指すため、出資の条件や経営への関わり方をよく確認する必要があります。

分割払いや役員退職金の活用

オーナーへの代金の支払いを、一括ではなく分割にする方法もあります。また、売却の前にオーナーが会社から役員退職金を受け取ることで、会社の株式の評価を下げ、後継者の買取資金の負担を小さくする方法も検討されます。

公的な制度の活用

事業承継のために、日本政策金融公庫などが融資の制度を設けている場合があります。制度の内容や条件は変わることがあるため、金融機関や専門家に最新の情報を確認しましょう。

方法内容注意点
受け皿会社で借り入れ新しい会社が借り入れて株式を買い取る会社の利益で返済できる計画が必要
投資ファンドの出資ファンドから資金の一部を受け入れる出資の条件や経営への関与を確認
分割払い代金を何回かに分けて支払うオーナーの代金回収のリスク
役員退職金の活用株式の評価を下げ、買取額を小さくする金額の妥当性と税金の確認

MBO・EBOの進め方

 

MBO・EBOは、どのような流れで進めるのですか?

 
 

後継者を決めて意思を確認し、会社の価値を評価したうえで、資金の計画を立て、契約を結んで引き継ぐという流れが一般的です。

 
 

外部に売るときと同じように、段階を踏んで進めるんですね!

 
  1. 後継者の候補を決め、意思を確認する:引き継ぐ意思と覚悟があるかを、じっくり話し合う
  2. 会社の価値を評価する:専門家に株式の価値を評価してもらい、売却価格の目安を決める
  3. 資金の計画を立てる:受け皿会社や借り入れ、ファンドの活用などを検討し、金融機関と相談する
  4. 条件を決めて契約を結ぶ:売却価格や支払い方法、引き継ぎの期間、個人保証の扱いなどを決める
  5. 経営を引き継ぐ:一定期間、オーナーが後継者をサポートしながら、取引先や従業員への説明を進める

MBO・EBOを進めるときの注意点

 

MBO・EBOを進めるときに、特に気をつけることはありますか?

 
 

売却価格を公平に決めること、ほかの役員や従業員への配慮、返済計画に無理がないかの確認が大切です。

 
 

社内の人間関係にも、気を配る必要があるんですね!

 

売却価格を公平に決める

オーナーと後継者は、社長と社員という関係にあるため、価格の交渉がしにくいことがあります。専門家に第三者の立場で株式の価値を評価してもらい、お互いが納得できる価格を決めましょう。

ほかの役員や従業員への配慮

特定の役員や社員が後継者になることで、ほかの社員との関係が変わることもあります。後継者を選んだ理由や、今後の体制について、丁寧に説明することが大切です。

返済計画に無理がないか

受け皿会社で借り入れる場合、会社の利益で借入金を返済していくことになります。返済の負担が重すぎると、会社の経営が苦しくなるおそれがあるため、無理のない計画を立てましょう。

外部への売却(M&A)との比べ方

比較項目MBO・EBO外部への売却(M&A)
引き継ぐ人社内の経営陣・従業員社外の会社・個人
社風・経営方針守りやすい変わることがある
売却価格資金の制約で低くなりやすい買手によっては高くなる
資金の心配後継者の資金調達が課題買手が資金を用意する
情報の管理外に出にくい秘密保持の管理が必要

社内に意欲のある後継者がいても、資金の準備が難しい場合は、外部への売却と並行して検討するのも一つの方法です。

MBO・EBOでよくある質問

 

MBO・EBOについて、ほかにも気になることがあります。

 
 

「小さな会社でもMBOはできるのか」「後継者が途中で辞退したらどうなるのか」といったご質問をよくいただきます。

 
 

どちらも、実際に起こりそうなことです!

 

小さな会社でも、MBO・EBOはできますか?

はい。会社の規模にかかわらず、社内に引き継ぐ意思のある人がいて、資金の計画が立てられれば、MBO・EBOを行うことはできます。会社の規模が小さければ、その分、買取資金も少なくて済む場合があります。

後継者が途中で辞退したら、どうなりますか?

準備の途中で、後継者が資金や責任の重さを理由に辞退することもあります。その場合に備えて、外部への売却など、ほかの選択肢も検討しておくと安心です。

後継者の育成には、どのくらいかかりますか?

後継者の経験や会社の規模によりますが、経営者としての判断や、金融機関・取引先との関係づくりを任せられるようになるまで、数年かかることもあります。株式の譲渡の前から、少しずつ経営の仕事を任せていくと、引き継ぎがスムーズに進みます。

MBO・EBOで、社内の人に会社を託そう

MBOは経営陣が、EBOは従業員が、会社の株式を買い取って経営を引き継ぐ方法です。社風や経営方針を守りやすく、従業員や取引先の安心感も大きい一方、後継者の買取資金の準備が最大の課題になります。

受け皿会社による借り入れや投資ファンドの活用など、資金の準備の方法を専門家と検討し、公平な価格と無理のない返済計画で進めることが大切です。

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