会社売却の相場はいくら?売却価格の計算方法と高く売るためのポイントを解説

会社の売却価格について説明する様子

「自分の会社は、いくらで売れるのだろう」

会社の売却を考え始めた経営者様の多くが、最初に気になるのが売却価格の相場です。

しかし、会社の売却価格には、不動産のような決まった相場表があるわけではありません。同じ売上規模の会社でも、利益の出方や財務の状況、事業の将来性によって、価格は大きく変わります。

一方で、売却価格を計算する方法には、ある程度決まった考え方があります。その考え方を知っておくと、自社のおおよその価値をつかみやすくなります。

ここでは、会社売却の価格がどのように決まるのか、主な計算方法と、価格が上がる会社・下がる会社の特徴、高く売るためのポイントについて解説します。

会社売却の相場はどう決まる?

売却価格の計算結果を前に考える経営者
 

会社の売却価格には、相場のようなものはあるのですか?

 
 

「売上の何倍」といった一律の相場はありません。会社が持っている財産の価値と、これから生み出す利益の見込みをもとに計算した金額を目安に、最終的には買手との交渉で決まります。

 
 

計算した金額は、あくまで交渉のスタート地点なんですね!

 

会社の売却価格は、大きく分けて次の2つの考え方をもとに計算されます。

  1. 会社が今持っている財産の価値:現金や不動産、設備などの資産から、借入金などの負債を差し引いた「純資産」
  2. 会社がこれから生み出す利益の価値:ブランドやノウハウ、取引先との関係、人材など、決算書には表れにくい「のれん(営業権)」

このうち、のれんの評価は、買手がその会社にどれだけの将来性を感じるかによって大きく変わります。

そのため、計算で出した金額はあくまで目安で、最終的な売却価格は、買手との交渉や、買手が複数いるかどうかによっても変わってきます。

売却価格の主な計算方法

売却価格の交渉に向けた打ち合わせ
 

売却価格は、具体的にどのように計算するのですか?

 
 

中小企業のM&Aでよく使われるのは「年買法」です。そのほかにも、将来の利益から計算する「DCF法」や、似た上場企業と比べる「類似会社比較法」などがあります。

 
 

計算方法によって、出てくる金額も変わりそうですね!

 

1. 年買法(時価純資産+営業利益×年数)

年買法は、中小企業のM&Aで最もよく使われる計算方法です。

売却価格の目安 = 時価純資産 + 営業利益 × 年数

時価純資産は、決算書の資産と負債を、今の時価に置き直して計算した純資産です。たとえば、帳簿上は安く計上されている土地が値上がりしていれば、その分だけ純資産は増えます。

これに、営業利益の数年分を「のれん」として加えます。何年分を加えるかは、業種や会社の安定性によって変わりますが、一般的には3〜5年分程度とされることが多い考え方です。

計算例

  • 時価純資産:1億円
  • 営業利益:2,000万円
  • 加算する年数:3年

売却価格の目安 = 1億円 + 2,000万円 × 3年 = 1億6,000万円

計算がシンプルで分かりやすいため、売手と買手の双方が納得しやすいのが特徴です。

2. DCF法

DCF法は、会社が将来生み出すと見込まれるお金(キャッシュフロー)を予測し、それを今の価値に割り引いて合計する方法です。

将来の成長性を価格に反映しやすい一方で、事業計画の見込みや割引率の設定によって結果が大きく変わるため、計算の前提が妥当かどうかが重要になります。

成長が見込める会社や、ある程度規模の大きい会社の評価で使われることが多い方法です。

3. 類似会社比較法(マルチプル法)

類似会社比較法は、同じ業種の上場企業の株価が、利益の何倍で取引されているかを調べ、その倍率を自社の利益にあてはめて計算する方法です。

市場での評価をもとにするため客観性がある一方、中小企業と上場企業では規模や信用力が違うため、そのままあてはめると高く出すぎることがあります。

4. 純資産法

純資産法は、会社の純資産だけをもとに価格を計算する方法です。

計算は簡単ですが、会社の将来の利益が考慮されないため、利益が出ている会社では実際の価値より低く出やすくなります。

計算方法の比較

計算方法考え方向いている会社
年買法時価純資産に、営業利益の数年分を加える利益が安定している中小企業
DCF法将来のキャッシュフローを今の価値に割り引く成長が見込める会社
類似会社比較法上場している同業他社の倍率をあてはめる比較できる上場企業がある業種
純資産法純資産だけで計算する資産が多く、利益が少ない会社

実際の評価では、ひとつの方法だけでなく、複数の方法で計算した結果を比べながら、価格の幅を決めていくのが一般的です。

売却価格が上がる会社・下がる会社の特徴

 

同じくらいの規模でも、高く売れる会社と安くなる会社があるのはなぜですか?

 
 

利益の安定性や、取引先の分散、経営者への依存度などが大きく影響します。買手にとって「引き継いだあとも安心して続けられる会社」ほど、高く評価されやすくなります。

 
 

買手の立場で、自社を見直してみる必要がありますね!

 

売却価格が上がりやすい会社

  • 毎年安定して利益が出ている
  • 特定の取引先に売上が偏っていない
  • 独自の技術やノウハウ、許認可、ブランドがある
  • 経営者がいなくても、社員だけで業務が回る仕組みがある
  • 決算書や契約書が整理され、会社の実態が分かりやすい

売却価格が下がりやすい会社

  • 利益が年によって大きく変動している
  • 売上の大部分を、1〜2社の取引先に頼っている
  • 営業や技術を、経営者一人が担っている
  • 未払いの残業代や、簿外債務などのリスクがある
  • 会社の経費と経営者個人の支出が混ざっている

会社を高く売るためのポイント

 

少しでも高く会社を売るために、今からできることはありますか?

 
 

業績が良いうちに準備を始めること、会社の「磨き上げ」を進めること、複数の買手候補や仲介会社を比べることが大切です。

 
 

準備次第で、売却価格が変わるんですね!

 

業績が良いうちに売却を検討する

売却価格は、直近の業績をもとに評価されることが多いため、業績が落ち込んでからでは価格も下がりやすくなります。

業績が安定しているうちに売却を検討し始めると、交渉にも余裕を持って臨むことができます。

会社の磨き上げを行う

取引先の分散や、経営者に頼っている業務の引き継ぎ、社内ルールの整備、経費の整理などを進めておくと、買手から見たリスクが減り、評価が上がりやすくなります。

複数の仲介会社・買手候補を比べる

仲介会社によって、得意な業種や買手候補のネットワークは異なります。1社だけに相談すると、条件の良い買手に出会えない可能性もあります。

複数の仲介会社に相談して査定や提案を比べ、より多くの買手候補と出会える体制を作ることが、高く売るための近道です。

売却価格の交渉で気をつけたいこと

 

買手との価格の交渉では、どんなことに気をつければいいですか?

 
 

希望価格の根拠を説明できるようにしておくこと、価格以外の条件にも目を向けること、価格が下がる理由を事前につぶしておくことが大切です。

 
 

価格だけにこだわらない視点も必要なんですね!

 

希望価格の根拠を用意する

「このくらいで売りたい」という希望だけでは、買手を納得させることはできません。年買法などで計算した価格の根拠や、今後の事業計画、会社の強みなどを資料にまとめておくと、交渉を進めやすくなります。

価格以外の条件も比べる

買手候補によって、提示される価格だけでなく、従業員の雇用の維持、経営者の退任時期、社名やブランドを残すかどうかなどの条件も異なります。

提示価格が少し低くても、従業員や取引先にとって良い条件を出してくれる買手の方が、経営者にとって納得のいく売却になることもあります。

価格が下がる理由を事前に減らしておく

デューデリジェンスで問題が見つかると、基本合意のときの価格から引き下げられることがあります。未払いの残業代や税務上の問題などは、売却を始める前に専門家に確認し、できるだけ解消しておきましょう。

会社売却の価格でよくある質問

 

売却価格について、他の経営者の方はどんなことを気にしているのですか?

 
 

「赤字でも売れるのか」「売却価格がそのまま手元に残るのか」「査定にお金はかかるのか」といったご質問をよくいただきます。順番にお答えします。

 
 

どれも気になっていたことばかりです!

 

赤字の会社でも売れますか?

赤字であっても、独自の技術や許認可、優良な取引先、人材などに価値があれば、売却できるケースはあります。

赤字の会社では、利益をもとにする年買法やDCF法では価格が出にくいため、純資産や、買手にとっての事業の価値をもとに価格を決めることが多くなります。赤字の原因が一時的なものであれば、その理由を説明できるようにしておくと、評価が下がりにくくなります。

売却価格は、そのまま手元に残りますか?

いいえ。売却価格からは、税金や仲介会社への手数料などが差し引かれます。

株式譲渡の場合、売却で得た利益には所得税と住民税がかかります。また、仲介会社への成功報酬は、取引金額に応じて数百万円〜数千万円になることもあります。

「売却価格」だけでなく、「手元にいくら残るか」も計算したうえで、売却を判断することが大切です。

なお、売却前に役員退職金を受け取る形にすると、税負担が変わる場合があります。どのような受け取り方が自社に合うかは、税理士に試算してもらいましょう。

査定にお金はかかりますか?

多くの仲介会社では、初回の相談や簡易的な査定を無料で行っています。

一方で、仲介契約を結んだあとの本格的な企業評価や、着手金が必要になる場合もあります。どの段階から費用がかかるのかは、仲介会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

会社売却の相場を知って、早めに準備を始めよう

会社の売却価格には一律の相場はなく、会社の純資産と、これから生み出す利益の見込みをもとに計算され、最終的には買手との交渉で決まります。

中小企業のM&Aでは、時価純資産に営業利益の数年分を加える「年買法」がよく使われ、ほかにもDCF法や類似会社比較法などで価格の幅を確認します。

利益の安定性や取引先の分散、経営者への依存度によって評価は大きく変わるため、業績が良いうちから磨き上げを進め、複数の仲介会社を比べることが大切です。

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